知っている道なのに突然わからなくなった。
自分がどこにいるのかわからない。頭が真っ白になってパニックに。
高齢の母の友人がそんな体験をしたそうです。
結局、通りかかった人に道を聞いて、迷子にならずにすんだそう。
そんな話を聞いてから、母は父の帰りが遅いと心配するようになりました。
ここ数年で父は物忘れがひどくなりました。
確実に老化は進んでいます。
だから、ある日突然、ふと道がわからなくなって、帰ってこれなくなることもありえるのかもしれない。
物忘れのひどい父、東京へ行く
そんなある日、父が東京に日帰りで行くことになりました。
父の地元の「ふるさと会」が東京で開催されるためです。
ふるさと会は毎年やっていて、父も毎年のように参加していました。
去年は、「疲れる」からと行きませんでした。
老化して気力が薄れて、今まで楽しんでいたことも興味がなくなったのかなと思っていました。
が、今年は気力を取り戻したのか、ふるさと会に参加することに!
それはいいのですが、母は一人で東京に行かせるのが心配。
東京の駅は、よく工事をしていて、道や風景が昔の記憶と違うことも多い。
そうなるとパニックになって道がわからなくなる可能性も。
そんな心配から、「父と一緒に東京に行って欲しい」と私と夫に母から要請がありました。
その日は予定もなく、交通費は母が出してくれるということもあり、夫も快く了承。
父には「同じ日に東京に用事があるので、東京まで一緒に行きましょう」ということにして、夫とともに父のお付きで東京に行くことになりました。
父のペースに合わせる娘婿、マイペースの娘
当日は、最寄り駅で待ち合わせて、いざ東京へ。
一緒に東京まで行って、一見、親孝行な私ですが、父とは仲がいいわけでもない。
なので、一緒に電車に乗っていても、特に話すこともない。
こんな娘に対して、うちの夫は父に話しかけたり、一緒に煙草を吸いに行ったりと優しい対応。
私はサッサと歩くのに対して、夫は父にペースを合わせて一緒に歩いてくれる。
我が夫ながら、こういうところは素晴らしいと思う。
夫は自分の母親、私にとっての義母といる時も、足が悪い義母にペースを合わせて歩いたり、階段などでは手を取ったりします。
だから相手のペースに合わせることもできて、ゆっくり歩く父にも対応できるのかぁとも思いますが、私はできないわけで、配慮ができるのはやっぱり素晴らしい。
こうやって相手に会わせられない自分を感じると、私、介護をすることがあっても、父母のペースに合わせられるのかなと心配になります。
夫のおかげもあり、無事、ふるさと会会場まで、父を送り届けることができました。
ふるさと会には、叔母(父の妹)も参加しているので、ここからは叔母にお世話をお願いして、私たちは終わりの時間まで遊びに。
神宮外苑のいちょう並木を見に行ったり、食事をしたり。
お昼代も母からもらっていたので、久々の東京を楽しみました。
父のおかげで、東京を楽しめてラッキーです。
突然わからなくなるのが高齢者
さて、4時間ほどのふるさと会も終わり、父とともに帰宅の途へ。
無事、3人で帰ってきたのですが、行きも帰りも特に父に危なっかしいところはなくて、一人でも行けたのではなんて思ったりします。
でも、母が言うには、「突然、わからなくなってしまう」のが、高齢者らしい。
わからないこと自体よりも、今まで当たり前にわかっていたことが、突然わからなくなったことに驚いてパニックになってしまう。
普段しっかりしているように見える人でも、そうなってしまうときがある。
だからこそ、母は物忘れがひどくなった父が心配なのでしょうね。
認知症やその疑いがあって、2023年に全国の警察に届け出があった行方不明者は延べ1万9039人。
うちの街でも高齢者の尋ね人を知らせる市の放送が、時々流れています。
こういう数字を見ると、大丈夫そうに見えても、ちょっと心配しすぎるくらいでいいのかもしれません。
心配しても何もなければ、それでいいのですから。