がんばらない暮らし研究所
50代からの、軽やかに生きるヒント
伊豆暮らし

「能って難しそう」…そう思っていた私が、毎年楽しみにしている理由

「能って難しそう・・・」と思っていませんか?

私は何度か能を見に行っていますが、確かに難しい。
セリフがよくわからなくて、見ているだけではストーリーもわからない。
途中、眠くなってしまうこともあります。

正直言って、よくわからない能。
それでも、見終わって「よかった」と思う不思議な魅力があるのです。

「能って難しそう」と思っている方に、私なりの能の魅力や楽しみ方をお伝えしたいと思います。

毎年5月に行われる水上能舞台と今年の演目

地元で毎年5月に行われる「薪能」

「伊東祐親まつり」のイベントの一つで、川の上に作った舞台で能が上演されます。

古い旅館の建物をバックにした川の上の舞台はなかなかの風情です。
川の上の能舞台は日本では、この祐親まつりの能舞台だけなのだそうです。

今年は残念ながら雨で、会館内での上演となりました。
今年の演目は、狂言「末広がり」、能「春日龍神」。

狂言は、能の前に行われる喜劇。昔のコントという感じ。
「末広がり」のストーリーは・・・
主人から「末広がり」を街で買ってくるように言われた使用人。
末広がりは扇のことなのですが、商人に騙されて傘を買って帰ります。
持ち帰り主人に見せて怒られて・・・

狂言は能に比べればセリフは聞きやすいですが、それでもわからない部分がほとんど。
ただ、狂言は動きが面白い場面もあって、セリフがわからなくてもクスっと笑えます。

今年の狂言は、野村萬斎が出演!
ドラマや映画にも出演していて、狂言を見たことがない人でも知っている狂言師。
私も知っている狂言師は野村萬斎くらいです。

その野村萬斎の狂言を見られることに、心が弾みました。
もう野村萬斎を見られただけで満足(笑)

もちろん、狂言自体ももくすっと笑えてよかったですよ。

狂言の後に、能です。
今年の演目は「春日龍神」

中国・インドに渡ろうとする高僧に春日大社の宮守は「日本を離れることは神の意向に背く」と引き留めます。
今インドへ渡っても釈迦の説法を聴聞できないのだから、春日の地を仏跡と見なして拝すればよいとさとします。そして、日本を離れることを思いとどまる高僧。
宮守は、三笠山に天竺を移して釈迦の生涯を見せると告げ去っていきます。
そして、龍神が表れて・・・・

といったストーリーです。

クライマックスの舞で静かな感動が押し寄せる

正直に言って、能のセリフはほとんど聞き取れません。
見ているだけではストーリーはほとんどわからない。

能は前半と後半で、主人公のシテの衣装や面が変わります。

前半は動きが少なめ。
セリフもわからないので、ついつい眠気も・・・。
なお、能の声がα波を発していて、眠くなるという話もあります(笑)

後半は衣装も前半に比べると派手目で、動きが多くなります。
主人公(シテ)の舞が始まるとクライマックスです。

この舞がいいのです!
私の場合は、この舞を見るために能を見に来ているようなものです。

この舞も同じく伝統芸能の歌舞伎ほどの派手さはありません。
それでも静かな華やかさや力強さを感じます。

今年の演目の「春日龍神」では、後半の主人公(シテ)は龍神。
龍神の舞が素晴らしかったです。

能面が動くはずはないけれど、舞が始まると能面に表情が宿ったように見えます。
魂がこもった舞に静かな感動が心にわいてくるんです。

そして、見に行ってよかったと思えるんですよね。

能の知識が少ない私の能の楽しみ方

私も数年、年に1回見に行くだけで、能の知識はほぼありません。
そんな私のような人でも能を楽しめるヒントをお伝えしたいと思います。

事前にパンフレットなどでストーリーを読んでおく

セリフを聞き取り、理解するのはかなり難しいと思います。
そのため、事前にパンフレットなどでストーリーを読んでおくとよいです。

お囃子や地謡、後見など舞台周りを見て楽しむ

小鼓や笛などお囃子の動きや音を見たり、まとまって座って謡う地謡の様子を見たり、主人公(シテ)の小道具などを出し入れしている後見に注目したり。
舞台回りを眺めてみるのも楽しみ方の一つだと思います。

わからなくても、最後まで見る

前半は動きが少ないし、セリフもわからなくて、ちょっと退屈に感じるかもしれません。
わからなくても、クライマックスの舞まで見てほしいのです。
わからないなりに、感じるものがあります。

さらに楽しむために

さらに楽しむには、能の知識をちょっと知っておくのもおすすめです。

能楽協会のサイトには、能の基礎知識や楽しみ方がまとめられています。
能を見に行く前に少し目を通しておくと、より能が楽しめるかも。
ようこそ!能楽の世界へ | 公益社団法人 能楽協会

もう一つ、私がおすすめなのはこちらのマンガ

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成田美名子著「花よりも花の如く」

能楽師の若者が主人公のマンガです。
能舞台の裏側を覗き見ることができます。

私は、このマンガを読んでから、より能を楽しめるようになりました。

能を見に行く人はもちろん、能を見たことない人にもお勧めのマンガです。

一度、能を見に行ってみませんか?

「能って、難しそうで・・・」と思っている人も多いと思います。

正直言って、セリフを聞き取り、理解するのは難しいと私も思います。
でも、わからずにみても、クライマックスの舞の素晴らしさは感じられます。

なので、少しでも能が気になったなら、一度見に行ってみることをお勧めします。
「能って、こんなふうに楽しめるんだ」と思えるかもしれませんよ。

私も来年の薪能が、また楽しみです。