「人生100年時代」といわれる昨今。
2024年時点で日本で100才以上の人口は約9万5千人。
このうち男性が1万1千人、女性が8万4千人だそうです。
100歳以上の約9割が女性なんですね。
昔、「きんさん、ぎんさん」という双子のおばあちゃんがブームになりましたよね。
100歳というと「きんさんぎんさん」みたいなイメージ。
元気とはいえ、家族に世話されて、いかにも「おばあちゃん」という感じ。
だったのですが、今の100歳はそのころとは少し違ってきているようです。
人生100年時代を追った映画
先日、100歳になる女性を追いかけたドキュメンタリー映画「サヨナラにこんにちは~はじめての人生100年時代~」を見てきました。(監督/プロデューサー:元木伸一)
「1924年(大正13年)満州生まれの満100歳。
戦後に満州から命からがら日本に渡る。
40代後半でドイツに留学。教師になり、82歳で日本に帰国。
生涯独身で高齢者向け住宅で独り暮らししながら、認知症の妹(95歳)の介護にも努める。」
そんな100歳女性、伊藤小夜子さんを追ったドキュメンタリー。
100歳の生活ってどんなものなのか?どんなことを考え、何をして生きているのか?
そんなことが気になって、夫と母、母の友達と見に行ってきました。
地域コミュニティセンターで上映されたのですが、参加者は高齢の方がほとんど。
50歳の私と夫は、参加者の中でいちばん若いくらい。
何人もの高齢者がセンターに入っていくのを見て、母の友達(77歳)は
「やだ~!年寄ばっかりじゃない!」とひとこと。
やっぱり100歳のリアルが気になるのって、その年が目の前に迫った来た人立ちなのでしょうね。
私もね、自分自身の100歳というよりも、親が100歳になった時にどんなふうになるのか、その参考にしたいという気持ちの方が大きかったし。
長生きしようと思って長生きなのではない
さて、映画の感想は・・・というと
100歳、長生きしようと思って長生きしたわけじゃない。
「なんで私はこんなに長く生きちゃっているんだろう。早くお役目を終えたい」と思って日々生きていたりする。
というのが印象的でした。
長生きしようと思ってないからといって、雑な生活をしているわけじゃなくて、体をちゃんといたわってる。
ダンス教室に通って、ストレッチを入念にやってるし、毎日、2時間ストレッチをしているとのこと。
日々の体のつらさを和らげるために、毎日のケアが必要だからのようです。
長生きしている人の多くは、「長生きしてやろう!」と思って長生きしたわけじゃなくて、毎日、体をそれなりにいたわって生活していたら長生きしちゃったみたいな感じなのかもしれないですね。
伊藤さんは50歳の時に、もう人生を生きたと思ったそうなんです。
戦後直後は平均寿命が50歳くらいだったので、それだけ生きたらもう十分生きたといってもいい時代だったんですね。それからまさかの50年。
いつまでも若いまま健康でやりたいことができるなら、ずっと生きていたいと思えるかもしれない。
でも、年を経るごとに体が動きにくくなって、できないことも増えてくる。友達も減っていく。
そうなると、「もうそろそろ、いいんじゃない」と思ってしまうのかも。
だからといって、「もう死にたい」と悲壮感にあふれている感じではないです。
いつでも死んでいいと、自暴自棄な生活をしているわけでもない。
淡々と毎日、やるべきことをやりながら生きている。そんな風に見えました。
今どきの100歳は「きんさんぎんさん」とは違う
今回の上映会には、伊藤小夜子さんご本人が来られていました。
思ったよりも小柄でしたが、背はしっかり伸びていて、おしゃれな方でした。
しゃべり方もハキハキしていて、質問の受け答えの内容もとてもしっかりしてました。
「きんさんぎんさん」の頃のおばあちゃんのイメージとは全然違う感じなんですよね。
上映会後のお話タイムでも、いろいろ話されてましたが、「転び方を覚える」という話が印象に残りました。
人間は2足歩行をしているため、転んでしまうのはどうしようもないもの。
高齢になって、転びやすくなるのも仕方ないこと。
だからこそ、大きなけがをしにくいように「転び方」を身に着けることに気づいて、伊藤さんは「転び方」を学んだそうです。柔道で受け身を習うみたいなものですかね。
それというのも、90代で転んで骨折をしてしまった経験があるから。
それにしても、90代で骨折したら、そのまま寝たきりになってもおかしくないのに、そこから「絶対歩けるようになってやる」とリハビリを頑張って歩けるようになったとか。
会場の中も特に杖なしに歩かれてました。
いくつになっても衰えない負けん気の強さと経験から学ぶ賢さみたいなところも、健康で長生きできている秘訣かもしれませんね。
私は現在50歳。
伊藤小夜子さんのちょうど半分。
あと50年生きるって、果てしなく感じてしまいます。
早死にしたいわけではない。
でも、長く生き過ぎるものどうなのか?
健康で長生きなことは喜ばしいことだけれど、長生き過ぎることは本当に幸せなことなのか?
そんなことも考えてしまった上映会でした。