ここ数年、父の物忘れが、ずいぶんひどくなってきました。
昔のことはよく覚えているのに、最近のことはどんどん忘れていく。
「これって、認知症なの…?」
家族みんなが、そう心配するようになりました。
こんな物忘れが増えてきた

たとえば、こんなことです。
- その日の予定を覚えていない。出かけた先のことも忘れてしまう
- 知り合いが亡くなったことを、忘れてしまっている
- とっくに亡くなった芸能人を、まだ生きていると思っている
- 携帯電話の使い方を、何度教えても覚えられない
たまに、つじつまの合わないことを言うので、家族で「お父さん、何言ってるの?」となることもしばしばでした。
畑もやめて、家でゴロゴロするように

物忘れだけではありません。
頭の回転も、ゆっくりになってきたようです。
長く続けていた畑仕事も、だんだん作業が遅くなってきました。
次に何をするか、すぐに思い浮かばない。
ひとつのことを始めると、別のことを忘れてしまう。
そうしているうちに苗を植えるのが遅れて、野菜がうまく育たないことも増えてきました。
見かねて私が手伝おうと一緒に畑に行っても、「次はこれをやって」という指示が、うまく出せないのです。
そして、とうとう畑もやめてしまいました。
そうなると、やることがありません。
週に1回のグラウンドゴルフとデイサービスには行くものの、あとはほとんど家でゴロゴロ。
知り合いからは「お父さん、最近、表情がなくなってきたね」と言われることもありました。
正直、この状態では、車の運転はあまりしてほしくない…。
そう思うのですが、不思議なことに、免許更新の認知機能検査にはちゃんと受かるのです。
母の入院をきっかけに、「物忘れ外来」へ

そんなとき、母がガンの手術で、2週間ほど入院することになりました。
弟夫婦とは二世帯住宅ですが、普段の暮らしはほとんど別々です。
母がいない2週間、父は一人でちゃんと暮らせるのか?
家族の心配は、そこでした。
そこで母が、父を市民病院の「物忘れ外来」に連れていきました。
結果は「認知症ではない」
検査の結果は——「認知症ではない」。
普段はあんなにぼんやりしているのに、検査のときはしっかりしていて、結果も悪くなかったそうです。
ソーシャルワーカーさんは、こう教えてくれました。
「正常でも、自分の興味がないことは、聞いても脳に全然残らない、という人がいるんです。特に男性に多いんですよ」
なるほど…と思うような、思わないような。
家族みんな、ホッとしたような、でもどこか納得のいかないような、不思議な気持ちでした。
それでも、「認知症ではない」というのは、やっぱりありがたいことだなと思いました。
それでも、心配は消えなくて

とはいえ、毎日家でゴロゴロしてばかりでは、体も頭も弱っていく一方です。
このままでは、認知症になるのも時間の問題かもしれない。
母は、できるだけ父を外に連れ出そうと、イベントや散歩に誘っています。
でも、父は「行かない」と断ってばかり。
ただ、お昼の外食には、めんどくさがりながらもやってきます。
だから私と夫も、ときどき食事に誘うようにしています。
少しでも刺激になればと、月に2〜3回は、実家に夫と二人でごはんを食べに行くようにもなりました。
おわりに
父の様子は、今も相変わらずです。
劇的に良くなるわけではありません。
それでも、家にこもりきりにならないように。
少しでも刺激のある時間を持てるように。
これからも、できる範囲で食事に誘っていけたらなと思っています。
同じように、親の物忘れが気になっている方。
「認知症ではない、でも心配」という宙ぶらりんな気持ちを抱えている方も、きっと少なくないですよね。
我が家のことが、何かのお役に立てたら嬉しいです。

