※この記事は、我が家の体験を書いたものです。薬の効き方や必要な量は人によって違います。薬のことは、必ず医師や薬剤師にご相談ください。

「最近、お父さん、薬が減ったのかと思ってた」
母はそう思っていたそうです。数えてみたら、11種類ありました。

年を取ると、飲む薬は増えていきます。1日3回のものもあれば、1日1回のものもあって、いつ飲むのかは薬によって違う。本人がちゃんと管理できているのか、家族としては心配になります。

82歳の父も、毎日何種類もの薬を飲んでいます。そのために飲み忘れを防ごうとして母がやったことと、母も私も知らなかった「一包化」という方法の話です。

父の薬は11種類

テーブルに置かれたたくさんの錠剤

薬局で母が驚いた、薬の量

最近の父は物忘れが増えて、病院で言われたことを覚えているのかどうかも怪しい。それで、79歳の母が病院について行くようになりました。

診察が終わって、薬局で薬を受け取るときのことです。

母は、その量に驚きました。普段の様子を見ていると、ここ最近は薬が減ったのかな、と思っていたそうです。

とんでもありませんでした。確認してみると、父が飲んでいる薬は11種類。血圧の薬や、糖尿の薬などです。

父は足腰の具合もよくないので、整形外科にも通っています。あちこちの科でもらっているうちに、増えていったのだと思います。

1日3回の薬も、1日1回の薬もある

11種類は、飲むタイミングがそれぞれ違います。

1日3回のものもあれば、1日1回のものもある。どれを、いつ飲むのか。

父がちゃんと管理できているのか、母は怪しいと思ったそうです。物忘れが増えている父です。飲み忘れていても、飲んだつもりになっていても、こちらには分かりません。

母がやった、1回分ずつの小分け

100均のジップ袋に、朝・昼・晩の90袋

手のひらにのせた錠剤

そこで母がやったのが、薬を1回分ずつに分けることでした。

薬のシートをハサミで切り離して、朝に飲む分、昼に飲む分、晩に飲む分を、それぞれ100均のジップ袋にまとめて入れる。それを1ヶ月分作ったのです。

朝・昼・晩で1日3袋。30日分だと、90袋になります。

これなら、父は袋をひとつ開けるだけで済みます。どれを飲むのか迷うこともありません。

薬の多さに気づいた父

できあがった袋を見た父は、こう言ったそうです。

「俺ってこんなに薬を飲んでいるんだな」

自分が飲んでいる薬の数を、あらためて認識したようでした。

これで飲み忘れることもないだろう。母はそう思いました。

それはそうと、こんなに薬を飲む必要があるのだろうか。そんなことも考えたそうです。

手作りの小分けは、やってはいけない

薬のシートをハサミで切ってはダメ

父と母は、デイサービスの予防クラスに通っています。そこにいる保健師さんに、母は薬のことを聞いてみました。

返ってきたのは、思っていたのとは違う話でした。保健師さんがまず言ったのは、薬の量の話ではなく、母がやった小分けのことだったのです。

「こうやって薬のシートをハサミで切ってはダメですよ。認知症が進んだ人などは、薬をパッケージから出さずに飲んでしまう人がいるんです。そうすると薬が効かないのはもちろん、切って尖ったパッケージの角で、内臓が傷ついてしまうこともあります。だから、これらの薬のシートには切り取り線がついていないんですよ」

母はガッカリしました。せっかく一生懸命やったことが、やってはいけないことだったなんて。

PTPシートに切り取り線がないのは、誤飲を防ぐため

白衣を着た人

気になったので、あとから調べてみました。

薬のPTPシート(錠剤を指で押し出す、あの銀色の包装)は、1996年より前は縦にも横にもミシン目が入っていて、1錠ずつ切り離せる形だったそうです。ところが、錠剤と一緒に包装ごと飲み込んでしまう事故が相次ぎ、1996年3月に業界の申し合わせで、ミシン目を一方向だけにして、1錠ずつには切り離せない構造に変えられました(日本薬剤師会「PTP包装シートの誤飲」)。

誤って飲み込むと、尖った角が食道や胃腸を傷つけ、穴が開いてしまうことがある。そこから重い感染症を起こすこともあるそうです。

保健師さんが言っていたのは、そういうことでした。1錠ずつ切り離せないのは、作りが不親切なのではなくて、そうならないようにするためだったのです。

薬局に頼める「一包化」

「朝食後」と印字された、1回分ずつまとめられた分包の薬

一包化とは、1回分ずつまとめてもらうこと

ダメだと言われて終わり、ではありませんでした。

保健師さんは、こう教えてくれたそうです。

「薬局で一包化といって、1回分ずつ薬をまとめた形で渡してもらうことができます。次に病院に行ったときに、先生に一包化するように処方箋を書いてもらってください。そうしたら薬局でやってもらえますから」

一包化。母も私も、その言葉を知りませんでした。そういうことができることも、知りませんでした。

母が90袋を手で作ろうとしたことを、薬局がやってくれるということです。

値段は28日分で140〜410円。待ち時間もかかる

健康保険証

いいことばかりではないようです。

一包化すると、薬代は少し高くなります。その場で分ける作業をするので、待ち時間もかかります。

どのくらい高くなるのか、これも調べてみました。

一包化の料金は「外来服薬支援料2」というもので決まっていて、7日分ごとに34点。1点は10円なので、28日分をお願いすると136点=1,360円になります。窓口で払うのはこのうちの自己負担分なので、1割負担なら約140円、3割負担なら約410円という計算です。

自分で90袋に仕分ける手間を考えたら、我が家にとっては、この金額と待ち時間は高くないと思いました。何より、安全面が安心です。

頼むには、医師の指示が必要

白衣を着た人が書類に記入している

これは、薬局に頼めば必ずやってもらえるものではありません。医師の指示か同意が要ります。

飲み忘れが多い、手が不自由で薬が出せない、といった必要があると認められた場合で、本人が希望しただけでは対象になりません。保健師さんが「先生に処方箋を書いてもらって」と言ったのは、そのためでした。

また、湿気に弱い薬など、一包化に向かない薬もあるそうです。

薬を減らせないか、医師に相談

カプセルと錠剤

高齢者は6種類以上で副作用が増える

薬が多いという点についても、保健師さんはアドバイスをくれました。

「中には、高齢者にとっては副作用がちょっと気になる薬もあります。先生に、飲まなくてもなんとかなる薬があれば減らしてほしいと相談してみるといいですよ」

父が出してもらっている薬には、本当に必要な薬と、生活の質を上げる面が強いものがあるようです。減らせるものもあるのではないか、ということでした。

これも調べてみたら、高齢者が飲む薬の多さは「ポリファーマシー」と呼ばれていて、厚生労働省が指針を出すくらいの話でした。薬が6種類以上になると副作用の出る人が増えるとされていて、ふらつきや転倒もそのひとつだそうです。11種類は、少ない数ではないようです。

とはいえ、家族が勝手に減らしていい話ではありません。次の診察で相談してみることになります。

次の診察は1ヶ月先

高齢者の手を取る手

一包化をお願いするのも、薬を減らせないか相談するのも、次の診察のときです。それが1ヶ月先なので、薬が減るかどうかは、まだ分かりません。

その1ヶ月のあいだ、父は母が切って小分けした薬を飲んでいます。切ってしまったものは、もう元には戻せません。幸い、父は今のところ、パッケージごと薬を飲んでしまうような状態ではないので、そのまま飲んでもらうことにしました。

母がやったことは、ダメなことでした。

でも、母が聞いてみなかったら、そのままずっと続けていたと思います。一包化という方法があることも、薬を減らす相談ができることも、知らないままでした。

やはり、詳しい人に相談するというのは大事だなと思いました。

【親の薬が多いと感じたときに】

チェックリストとペン

今回教わったことを、まとめておきます。

  • 薬のシートは、ハサミで1錠ずつに切り離さない。包装ごと飲み込んでしまったときに、切った角で内臓を傷つけることがあります
  • 1回分ずつまとめたいときは、薬局の「一包化」を頼む。手作りで小分けする必要はありません
  • 一包化には、医師の指示・同意が要る。次の診察のときに「一包化してほしい」と伝えます
  • 費用は7日分ごとに34点。28日分で自己負担 約140〜410円。待ち時間も少しかかります
  • 一包化できない薬もある。湿気に弱い薬などです
  • 薬の数が気になるときは、「減らせる薬はないか」を相談できる。医師や薬剤師、かかりつけの薬局に

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